生け垣植栽のススメ

 

 

「大いなる実用は大いなる美である」

 私たちが生活している街は様々な建築物で構成されています。真新しい建物は私たちに清々しさを与え、幾月もの時間が流れた建物はアンティークな味わいを醸し出し、私たちに様々な情感を湧き起こしてくれます。そのような街並みにもうひとつ、四季の移ろいという情感を与えてみませんか?植物たちの営みは驚くほど建築物を引き立て、街並みを豊かにしてくれます。その上、地球上で問題になっているCO2を酸素に変えてくれるのです。これってエコ、です。

 賢い生け垣の選び方

 生け垣にする樹というのはどんなものがよいでしょう?樹木というものは、いうまでもありませんが生きています。 人に得手不得手があるように、樹木にもその性質によって生け垣に向く樹、すなわち、生け垣になるのが得意な樹とそうでない樹があります。生け垣にするのに適した要素としてはいくつか挙げられます。全ての要素を充たしているというのはむずかしいですが、その土地の気候風土にあったもの、管理のやさしさ、見た目の美しさや醸し出す雰囲気など考慮すれば、幾万とある樹種の中でも自ずとしぼられてきます。

 其の壱 丈夫であること

 これはすごく大事な条件です。なぜなら、『丈夫であること=生産が容易=量産できる=お値段がリーズナブル』という図式が成り立つからです。もちろん、ブロック塀などをつくることから考えると少々値の張る樹木を植え付けても生け垣にする方がリーズナブルです。ですが、通常、生け垣をつくるのに1mあたり3本の苗が必要ですから10mの生け垣をつくると30本の苗木が必要になります。ですからリーズナブルに越したことはありません。お値段に関しての見解は個人差がありますのでこれ以上はふれませんが、そのリーズナブルである理由の『生産が容易』『量産ができる』という樹木の性質が生け垣をつくるにあたって大切なキーポイントとなります。なぜならそういった性質の樹木は成長が早く、移植も容易な為、生け垣にするという目的を早く達成することができ、万が一枯れて生け垣に穴が空くようなことがあったとしても簡単に取り替えることができ、早く周りの成長に追いつくことができるからです。

 其の弐 萌芽力があること

 ひとくちに生け垣と言っても実に様々な作り方があります。例えば京都御所の周囲で自然そのままに育っている巨大な樹木も一種の生け垣と呼べるかも知れません。しかしここでは一般的な住宅の塀としての役割を持つ生け垣に焦点を当てます。そのような生け垣はやはり境界としての役割、目線をさえぎるということが重要です。それには、近隣にご迷惑がかからないよう枝の切り戻しによく耐え、なおかつその切り口から芽がよくふく、つまり『萌芽力』のある樹木が最適です。『萌芽力』があるということはそれだけ枝が密に詰まりますので、目隠しとしての機能美があるということがあります。ここで特に注意したい事柄があります。それは、例えば松などのような丈夫な樹木でも、葉のないところまで切り戻すとそこからはもう新しい枝は出ないということです。針葉樹は特にその傾向が顕著です。カイズカイブキというよく生け垣に使われる針葉樹があります。この大きく育ち過ぎて敷地からはみ出してしまったカイズカイブキを葉のないところまで切り戻しておられる方を時折見ますが、これはもう芽は出ません。ですが、左上の写真のベニガナメやキンモクセイといった樹木はほぼ確実に芽吹いてくれます。

 其の参 手入れが容易であること

 生け垣というものはこまめなお手入れが必要です。まめにお手入れをすればするほど美しくなります。ちゃんとこまめにお手入れしていれば前記のカイズカイブキなどの性質の樹木を大きく切り戻す必要もありません。『手入れが容易』であれば、時間も労力も少なくなり、こまめにお手入れすることができます。害虫がつきにくく、病気にかかりにくいということも『手入れが容易』であることの条件ですが、カイズカイブキはその条件を充たしています。また、その植物の性質をよく知るということは手入れを容易にすることの手段でもあります。どんな樹木にもほぼ共通していると言ってもいいことがあります。それは「頂芽優勢の法則」という樹木の性質です。これは樹木の頂点ほど優勢に芽が伸びて行き、下枝はしだいに弱ってゆくというものです。ですから下枝は大事にしながら上枝は切り詰めてゆくという意識が必要です。ですから生け垣にする苗木を選ぶ場合、できるだけ目的の大きさよりも小さなものを選びます。下枝となる枝を大事にすることによって美しい生け垣をつくることができます。また樹木によって剪定する時期を知ることで花をたくさん咲かせたりと調整する事もできます。

 

 

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